判らないものがおまえを生かしている/ホロウ・シカエルボク
 


白夜のように月が燃えあがる夜に暗色のシーツに包まれた寝床におまえは横たわる、清潔な寝室のそこかしこに蛆虫のように蠢いている憤りの欠片、それはすべておまえが隠した懐から零れ落ちていったものだ、もぞもぞと床の上で、淡い影のような、あるのかないのか判らないようなそいつが時のない時の中を生きている、おまえは仰向けになっているが目を閉じてはいない、数百年もそのままで寝ているミイラのように目を見開いて、天井から垂れてくる雨垂れのような詩情を眺めている、それは決して書き留める気分になれない羅列、決して指先まで到達することのないインスピレーション、そうさ、まさに寂し気な雨垂れのように滴っては濡らすことも叶
[次のページ]
戻る   Point(2)