花火と恋と生と死を/藤沢
 



花火と恋と生と死を
一つのものとして例えるあいつのこと忘れたわけじゃないよ。
ただ、もう、そこにはいないし
いや、もともとあいつはここに相応しくなかった。

古びた喫茶店で
生と死について語るあいつは
いったい何度屋上から飛び降りたのだろう。

自慰行為の話はしてくれたじゃん。
恥ずかしげもなかったじゃん。
自傷行為が気持ちいいって
もしあの時教えてくれてたら
私はあなたをもう少し愛せたのか。

かすり傷一つじゃ死なないからって
猫に引っ掻かれた腕にゆっくりと触れた。


光って
落ちて
消えて
天や地に還って
魂は誰かの心の中で研ぎ澄まされてる。



初恋のあいつが私に浴びせた罵倒と
中学生の時に見た映画のフレーズを
座右の銘にして生きていく。
量産型のアイデンティティを胸に
今日も名札を着けて
大勢の中の一人として生きていく。





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