ニュルニュバ/
たいら
その瞬間を今でも憶えている
怖くは無かった
痛みも無かった
一瞬一瞬を切り貼りしたような
緩慢に流れる時間の中で聴いた音を
今でも覚えている
ニュルニュバ
って音だった
けたたましいブレーキの音も
絹を裂くような女性の声も
無機質なシャッター音も
全てを置いて
ただ、その音だけが聴覚を支配した
ニュルニュバ
今思えば何の音だったのだろう。
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