風/薫子
 
好きだ







冷たい北風に頬が切られそうな中


息を凍らせながら歩くのが好きだ







でも、一番好きなのは






初冬の街で枯葉を舞わせる風






その風の中を

あなたの腕に腕を絡ませて歩くとき



私は風は私の一部であり


私は風であると思うのだ



貴方を優しく包む風であると‥






でも、時々悲しくなる






私は風だから




貴方にいつになっても気づいてもらえず


抱きしめてもらうことが出来ないから‥






あなたが






私の中を

通り過ぎるのを










黙って見送るしかないから‥

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