われらの時代/葉leaf
 
 私はいわゆる氷河期世代の人間だが、就職だけにかかわらず、生きること全般について苦労の伴う昨今であると感じている。もともと日本はムラ社会であり、その体質は西洋文化の輸入後も変わることはなかった。そのムラ社会が解体されていき、個人主義の傾向が強まっていく中、人々は自らを実存的に支えてくれる根拠を失っていった。日本人は思想の薄弱な民族であり、理論を自らの支柱とすることに不慣れな民族である。だから、社会が近代化していっても、個人はその近代化を理論として内面化することができず、いまだ前近代のムラ社会の心性のままだった。
 ムラ社会において個人の実存的な支えとなるものは、上下左右の感情的なつながりである。
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