お伽話ほか一篇/乱太郎
 
 お伽話



銀河の向こうに君がいた
禁断の実は渦の中
迷い込んだら逃げ出せない
小さな小さな恋のお話しで瞼が閉じて
朝の雫が落ちたとき
ぶらんこに揺れながら笑う君





 僕とキツネ

夜 公園のベンチに座っていたら
一匹のキツネが近づいて
僕の顔をしばらく眺めていた

揺れた白い月

もぐらなんかいるものか

舌打ちの後の砂煙
尻尾が大リーグボールのように消えていく


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