祖母は千歳飴をなめる/
白島真
大切な人が死んだとき
勿論、ぼくは生きていたが
最近、思うようになってきた
ぼくは死んでいたのではなかったかと
死んでいて
亡くなった父や母が悲しそうに
ぼくを見ている
そんな時間があるのではないかと
このままぼくだけが歳をとれば
父や母が
ぼくの子供になってもおかしくない
いや、彼らはぼくの子だったのだ
ブリキのおもちゃで遊ぶ父や
うさぎのぬいぐるみを抱きしめる母
祖父も祖母も着飾って
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