そのとき初めてその色を知るだろう(静かに語りかけるような音とともに)/ホロウ・シカエルボク
い森に居るかと錯覚するような影を落としている、ここが土壌だとすればこれからさぞかしおぞましい虫どもが身体を這い上って来るんだろうな、俺は身震いする、それは怖れではない、充電が終了した合図さ―イマジネーションが駆け巡るさまがその証拠になるだろう、だけどそんなものはおいおい掲げていけばいい、いちどきにすべてをさらけ出すことなど出来はしない、いや、そんなものは、一生かけて試みたってきっと無理なことだ、だけどそんなことはどうでもいいことさ、終了処理を円滑に遂行するのは俺の役目じゃない、そう、たとえば―俺は試したいのさ、自分の墓石にどれだけのフレーズを刻むことが出来るのかというようなことをさ―もちろんそれはそのままの意味じゃない、そこに刻まれた俺の名前にどれだけの印象が隠れることが出来るのか、俺が口にしているのはそういうような意味さ…俺はシリコンのオブジェの一番いびつなところを力の限り握りしめる、獣の歯のように皮膚を突き破り筋肉に到達したそれは、笑わせるくらいの真新しい赤い血を滴らせてくれるんだ。
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