そのとき初めてその色を知るだろう(静かに語りかけるような音とともに)/ホロウ・シカエルボク
 


皮膚を切り開いて筋肉の隙間から血管と神経だけを取り除き、天井から吊るしてオブジェにする、血の滴る音を秒針のように聞こう、過ぎ去るときは死と同じだ、一分一秒は死に続けている、血だまりのにおいは外気温よりもほんの少しだけ低い…落下死体のように窓に張り付いた十月の終わり、目にしたものは視神経のどこかで迷子になって永久に認識されない、脳髄が痺れているのが判るか?そこにはわずかな電流が流れている、生命を感知する仕掛けのようなものさ、すべてが上手く流れなければあっという間に欠陥が生じてしまう、取り除け…薄汚れた床の上で、今夜も目にする俺自身の検体、バラされて穿たれて放られて破片だ、冷たくなったこの部屋
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