小さい光/小林螢太
 
遠い光

風の中、ふいに
放たれる矢のように
囁きは優しく
私に突き刺さる

霧の夜、闇に捕われる
気配だけ
それは
幻の花びら

ゆっくりと、剥がれて行く
塗り固めたこの空の、扉
雷鳴を感じる心は
その彼方へ

小さい光

思うのはいつの時も
失われたあの丘の向こう
燃え上がる雲は、どこへ
その行方は

小さい光

この空の扉
雷鳴を感じる心は
響かせる心は
その彼方へ

遠い光
 

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