いつもの挨拶/白島真
そろそろ すとーぶだしてよ ともいわない
きみは けなげだね
ねどこでほんをよみだすと
かならずわけありがおでじゃまをする
うるさいけど にくめない
たまに てつがくしゃのように
あおのさかなをめいそうしている
ざつねんだらけのぼくは はずかしくなってしまう
猫
何も所有しない ただひとり
猫
母の忘れ形見
猫
その瞳はうつくしい 母を見たから
れいぞうこのつめたいかんづめはきらい
とっととにげていく なまいきだね
くっちゃね くっちゃねだけなのに
あいされる
じょうぜつなぼくよりも
あいされる
いたみをかかえると
ひとりしずかに たえている
けっしてあまえてこない
きみの和毛にふわふわして
所有をすてて近づきたい 見習いたい
もうぼくより年上かな
先のことは考えたくない
でもぼくはきみを看取れる
きみは看取れない
困ったね
おしりをやさしくひとつかみ
にゃっという いつものあいさつ
いまは それで いい
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