冬空君臨/藤鈴呼
 
から 
天使が舞い降りたふう

ゆっくりと ささやかな 音を借りて 
ここが 楽園なのだと 言わんばかりに 
かさこそと 肌を くすぐるから 
ふわりと 口角が 上がるのです

上を向いた 蕾が 
未だ未だ 咲く気配なぞ 見せぬのに 
何処かしら 安心できるのは

必ずや 咲く筈だと 断言できる程の 力強さに
囲まれているからなのです

切っ先鋭い刃を以てしても 
二度と 途切れぬ 関係のように

出来るならば 流すのは 赤い液体のみならず 
同じ色ならば 糸で包まれて 生きたいのです

揺れる雲の角度が 
どんな風に 描かれたとしても 

この 桜の悪戯を
笑って 受け留められるようにと
ゆっくりと 眺める

冬空を包む 枯れ枝の隙間に
次の春を 探すみたいに

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