冬空君臨/藤鈴呼
 


震える身体を温めたいと 寄り添った枝が
乾いた空気を纏ったまま パチリと音を鳴らす

窓を叩く 霰との 二重奏
本当は 枝切り鋏も 加わったから 
三重奏なのだけれども

認めたくないのと 赤く流れる液体を 
白い布で拭きとる仕草が哀しくて 
瞳を逸らす

逸らされたままの 木の実が 
コロンと 所在なさげに 微笑んで 

その 寂しそうな 揺れ具合に 
ぽろんと流れた 涙 一つ

この 雪の奥に 閉じ込めたまま 
新しい ハミングを 重ねた

御寂しお見舞い申し上げます
そんな言葉が 存在するものと 
熨斗を眺めながら 呟けば
否 と 空から
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