秋の夕暮れ/葉leaf
 

秋の夕暮れは氷塊のようで
たった一つの亀裂も
存在することが許されない
完璧に冷たく充足し
いかなる反撃も許さない
そんな氷塊が大地を覆っている
私はゆったりとページをめくる
秋の物語が展開されてゆくのを
私固有の足取りで追ってゆく
秋の夕暮れは気づかれずに
速やかに夜へと移っていくが
そこには厳密な氷塊の時刻があって
私は必ずページをめくるのだ
移ろうものと移ろわないもの
そのきしみ合う音響に合わせて
氷塊は融け去り私は本を閉じる
秋の夕暮れに沈むのは太陽ではなく
本と氷塊と私の指先なのである

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