スリープレス/坂本瞳子
 
眠りたいのに
眠れずにいる

本当は眠りたいだなんて
少しも思っていない
できることなら一晩中起きていたい
二四時間三六五日
一睡もすることなく
起きたままでいたい
したいことがある訳ではなくて
ただ眠りたくない
君の顔を見ていたいだなんて
そんなこと言いやしない
暗闇が恐いとか
そんなことでもない
ただ眠りたくないんだ
ぼーっとすることもあるだろう
なにも考えずに過ぎゆく時刻を見つめたり
恐怖に慄き捉えられたまま過ごす時間もあるかもしれない
それでも眠りたくないんだ
もう少しでいい
ほんのもうちょっと
起きたままでいさせておくれ
大人しくしているか
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