お子様ランチ/桂
両開きのメニューにすっぽり収まった君の顔
新幹線のプレートを指さして
「これがいい」
って無邪気に笑う君
少年時代は特急から眺める景色みたいに一瞬で過ぎ去るけど
一つ一つ目に焼き付けて大人になって欲しい
いつの日か君も
お子様ランチを注文するのが気恥ずかしくなる年齢になるから
そんな僕の感傷的な気持ちなんかに目もくれず
君はドリンクバー目がけて走り出す
ついていくと抱っこをせがまれて
小さな両手でグラスを一つ掴む
君を持ち上げさせられる
学者がフラスコに液体を入れて実験するみたいに
君はグラスに好きなジュースを次々と混ぜて
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