いま、ほんのもう少し/
坂本瞳子
涙も溢れやしない
疲れた
この一言がやっと出てきた
溜息も出ない
力の入れ方を忘れてはいないが
力が出ない
気力もない
風船のようにふわりと横たわったまま宙に浮いて彷徨う
せめてこうしているのが
それらしい
しばらくこのまま
なにも考えずに
もう少しだけ
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