雨だれ他一篇/乱太郎
 
「雨だれ」

幾多も宇宙が膨張しては落ちていく
手のひらに掬えば
昨日の私の涙みたいで
もしかしてこの中にあの時の自分が
小さくなって住んでいるのかも
瞼を閉じて
何度も聴こえてくる
ほのかなしかし確かな誰かの叫び
私を呼んでいる
雨上がりの午後二時





「牛と牧草」

窓越しに牛
午後の毛布は緑色
白と青のアダージョと
あなたが
歌う小さな風


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