遺された春(2)/渡邉建志
さくらのはなびらが ちる
ちきゅうがしずかに くずれる
ふねがとおくへ きえる
ひかりがかいていへ しずむ。
うつくしい (上昇して)
うつくしい (上昇して)
うつくしい (上昇して)
(上昇して。)
空はこんなにも晴れて、
晴れて、晴れて、
わたしたちはもう長く歩いてきたね。
疲れて、もう寝ようとしている。
もう死ぬのだというのに、
空が青い。
花が美しい。
もう死ぬのだというのに、
鳥が鳴いて、
川は流れ、
川は流れて、
春が来る。
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