出土/合耕
波打ち際歩きながらひとつひとつの砂に名前付けた僕は
とっくにおじいさんになってるはずなのにな
遠くからやって来る大きな文字の群れになら
いくらでも負けてやっていい気持ちなんだ
手の中にひとつだけ 握りしめたものを
ずっと遠くまで飛ばせる力が無理を通したこの空だ
誰も見ちゃいけないよ
神様の都合で メガネが似合う僕だから
同じ場所へ向かう彼にだって
今ここに浮かべてる表情こそメッセージだ
階段を上る途中あの娘からの電話が
「絶対、追いついてみせる」って翼竜の羽音と一緒に届くけど
いつか 彼と僕はもうビルの屋上に着いていて
同時にメガネを外す準備もばっちりなんだ
これからこの場所に降って来るものには全部 大きな手榴弾にだって
あらかじめ名前が付けられてる
そうだ、この後カメラのシャッター音が
大きく響くと思うから
耳を澄ませといたほうがいいよ
ほら、
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