のぎへん/AB(なかほど)
ただ己の愛するもののために
耕す
そんな奴にさえも木漏れ日はやさしい
影は
もっとやさしい
7
八つまわって生まれ年には
かざぐるまで遊びます
ずっとずっと昔から
そういうことになっております
8
あいにく
今日の大和の風は砂をはらんでいることもなく
腰かけた店先では下をうつむくしかなく
わかったよ
本当はもうとっくに思い出してるよ
差し出された干し柿は
とても甘く
9
雨が降っている
破れた蝙蝠傘をさした賢治さんがしゃがみこんでいる
100年経っても芽はまだ出ないらしい
僕らはときどき
種は蒔かれなかったんじゃないかと思う
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