彗星、家出する/這 いずる
 
星と光と闇より
現実味のない宇宙遊泳
足元を掬われる前に遊び浮く
くるくると天井を知らず地も知らず
青い星からのはぐれ者
家出した散見される彗星になって
仄かな星明かり、頼りに闇を行く

あの星は誰、と指をさされ
そこらを埋め尽くした欠片
進むたびに剥がれ落ちていくのは
感情の端切れであって
それが光って消える
早く早くと飛んできたツケは
脆い表層を成し支払っている現状

行方が不明の家出人
無事の便りは長らく出さなかった
行先が不明の彗星
おずおず踏み出した一歩が
いつ何も踏みしめないで転げ落ちるか恐恐としている

周囲に満ち満ちた輝きを掬い取り
ランタンに仕立てて人に売る
わずかな小銭、ジュースを買う

夜の淵に腰掛けて
のんびり明かりをつまみつつ
ひんやりした缶の水滴
光って見える

ぽたりと膝におっこちた
戻る   Point(2)