ぽろり・ぽろり/梓ゆい
 
ざらり・ざらり・ざらり。
ぱら・・・・。ぱら・・・・。ぱら・・・・。
父の骨は、少しつまみあげただけで崩れてゆく。


粉々になった骨の欠片
これが人の形だったのかを疑いたくなる。
名前を呼んで頭を撫でた大きな手
そっと欠片を集めれば
微かなぬくもりが私の手の中で蘇る。


お父さん・お父さん。いってらっしゃい。
手を振った後姿がかすれて
父をかたどる輪郭線が歪んでかき消されてゆく。

私の指に付いた骨の欠片
空気の中に溶けて
何処に散らばったか解からなくなった。





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