はぁ/木屋 亞万
夏が終わっていく。カンカンと日差しに照り付けられていたアスファルト。道が太く細く血管のように行き渡っている町で、その熱は人の体温を越えるほどだった。
夏の忘れ形見として、南の方からやってくるいくつもの台風が、街をむちゃくちゃに濡らして、一日二日高温多湿にしたところで、数日後にはもう朝晩はすっかり冷え切ってしまっている。死にかけの体に、心臓マッサージで無理やり血液を送り続けるような徒労感。南国の暴れん坊たちがどれだけ手を尽くしたところで夏はもう死んでいる。
夏の日差しの中で、腕を出し、足を出し、汗を撒き散らしていたこの身体。いまや腕を隠し、足を隠し、隠しきれなくなった食欲と戯れている。
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