アネモネの詩 (初稿)/もっぷ
 
ててはどうか
悟ってしまった母性への思慕を殺し
すこしだけおとなの匂いを萌しながら
あきらめてこども部屋への階段をのぼる

夢のなかで父さんを追いかける
母さんの名を忘れ忘れながら
夢のなかで私はどこまでも
、あした目覚めて椅子を喪い弔う
私は泣く あの夜は可逆だと信じて
(かん高く割れる音)
いない、信じてはいなかった私を
映すものは惜しみなくて その、

訪れたあたらしいなみだの朝 その
ひとつぶが てのひらのうえで
ひかり かがやき それは


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