春/蒼木りん
 
ときどき
ガラにも無く
人生は
季節で
とか
考えて
天使がいる季節を
幸福に思い浮かべるんだ

私の中の影も
出る幕の無いほど
白いやわらかな幸福の微笑みに満たされていて
やっぱりそれは
あとで想うと
幻かと思えるような
切望していた
たどり着くべきところ
であるような
ずっとはじめから
そうでなければならなかったことのような
気がつくのに
ずいぶん時間がかかったことのような

天使が
朝の光の中歩いてゆくよ
人間の子になってゆくよ

私は
天使を抱きしめる幻を見る
吾子が天使であることを忘れないように

窓をみがく
春が光の中に来た






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