お月さまになったさかな/水宮うみ
 
のさかなのところに、人がやってきた。
月のさかなは、はじめて人の足音を聞いた。月と人との出会い。
「こんにちは」と話しかけると、「こんにちは」と返してきた。
お月さまは人に、今までの人類の足跡を教えてもらった。とっても長い人類の足跡を、言葉を使って教えてくれた。
そうしてお月さまは知った、人はみんなことばを話したいのに、どうしても言葉になってしまうんだと。
教えてもらったお礼に、お月さまは輝いてみせた。人はとても喜んだ。地球も喜んだ。
笑顔をみるのはお月さまだって嬉しい。
人はお月さまからさかなの生き方を学んだ。
月と人はバイバイし、人はくるくると泳いで地球に帰った。
そうして、お月さまになったさかなは、地球という一匹のさかなのことがちょっとだけ好きになりました。


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