異郷にて/葉leaf
滑らかに運行させていく。これほど固有性が喧伝される人間というものが、実はどれだけ普遍的で相対的なものか、それは異郷に来ると分かる。異郷にて唯一私を拒まない種族、異郷にてむしろ私を導いてくれる系統、それが人々であった。人々はどこにいようとみな同じ回路と同じ暗号で通じ合える、この人々という自然の産物は文化でもって高度に宥和し合っている。私はなじめない異郷において、人々の表情とだけは不思議となじめるのだった。あれほど激しく否定していた人間という種族だが、所詮私も人間という種族だった。
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