あえかなきみ/AB(なかほど)
地図を眺めても
地球儀を回しても
西方のかなたにそんな国はない
少しは知っている
今そこにどんな国があって
違う幸せを望んでいること
少しはわかっている判っている
それでも
風がふいたら
なにげなくやさしい
風がふいたら
やっぱり
僕らの西方のかなたが
あるような気がするんだ
そこからふく風が
あえの風
夏が終わるよって
ないているんじゃないよ
でも
さみしぃって
のは少し混ざってる
夕焼けに溶けるように
あえの風に流されていくように
なにげなくやさしい人たちの
いとしい が
蜩の声
こんなふうにしてるのを
きみは見
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