愚か者の涙/ホロウ・シカエルボク
 


開き直って、当たり前のことを言う
そんなの詩人のやることじゃない
文法に縛られ、添削に精を出す
そんなの詩人のやることじゃない
奇をてらって、珍妙な改行、記号の羅列
そんなの詩人のやることじゃない
ひとりで生きられないものが
大きな声で誰かの気を引こうとするように
ひとりで書けないやつらが
常套句なイデオロギーにすがりつく
幾重もの無頼派の皮を
丁寧に丁寧に剥いだら
顔を出すのはもやしのような鉛筆だ
「本をたくさん読んで、詩人をたくさん知ってます」と
あるものは言う
「二〇年書いてきました、私の言葉には真実があります」と
あるものは言う
そんなの詩人の言う
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