婚姻/オダカズヒコ
少しだけ違うんだ
星の配列の話じゃないから
聴いていてほしい
中年になって
ぼくはぬけぬけと
神様を信じるようになった
それは地球や世の中を
世界の事を
大げさな
救済の話にしたいからじゃない
きっと
運命の恋をしたせいなんだ
明美を助手席に乗せて
ぼくらはブタを埋めた墓へ向かった
祟り
というものを
ぼくらは畏れていたわけではない
神様
聴いてほしい
ブタを身ごもった世界は
たった今
ぼくらの手から破壊した
ナイフもカービン銃もいらない
白い陽光が飛びこむ
平和な世界に
ブタを屠ったのはブタ自身だ
神様見ていて欲しい
ブタからはみ出した臓器が
膨らみ始めている
オーブンの中でこんがりと焼けて
人々のお腹を満たすために
神様
聴いていて欲しい
ブタを屠ったのは
ブタ自身だ
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