婚姻/オダカズヒコ
泣き腫らした女の顔は
紅潮していた
ホテルの窓の外に見える
海岸が騒々しくなってきた気がする
月はぼくらの妄想のように
闇夜に浮かぶ
血が騒ぐというのは本当だ
女はまだ酔っていたが
ぼくは抱き寄せて
そしてベットに運んだ
好きな人がいないと
恐いよ
特にこんな夜は
独りぼっちになったような
気がするの
明美と結婚しようと思ったのは
1年前だ
正確には
3年前だ
初めて会ったとき
3年前のこと
彼女がぼくの横を通り過ぎていった
ときの風や
揺らめきや
光に
懐かしい人に出会った気がした
一年前
ぼくの隣で笑う彼
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)