爆ぜているものは無数にあり、そのなにひとつとして伝言を残したりなどしない/ホロウ・シカエルボク
溶解する脳内の炉のなかで、失われてはならないものがあった、それは長く俺の中にとどまり続けたものだったが、思い出すことさえ出来なかった、脳下垂体の下部に据え付けられたそれは、終始俺の思考にきな臭いにおいを漂わせて…俺は首を垂れながら遅い夕飯を食べていた、どこかで買ってきたそれは悪い味じゃなかったが…呆然としていて現実の重みは感じなかった、だがそれはくいもののせいじゃない、それが判っているからこそ俺は呆然と顎を上下させている、咀嚼は祭典の空砲のように片っ端から浅はかなものを飲み込んで、胃袋は心許ないものでめいっぱい膨れ上がる、胡坐をかいて…こぼした米粒が組んだ脚の間でどこかへ消えて行くんだ
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