函館山の麓にて/服部 剛
 
遠い山々の緑がくっきり浮かぶ
夜明け前
烏等は唄を交わし始める。

旅の宿の眼下に広がる風景
明るみゆく教会の隣に
洋風の家があり
朱色の屋根の下に
昔――亀井勝一郎という
文士がいた、不思議を思う。

今、僕は決意する。
この手に一本のペンを持ち
世に二人といない自らの旅を往く
新たな物語の日々へ  





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