東京 (1974〜)/ベンジャミン
 
っぱいの顔が
迫ってくるけれど
あの日
ひとりで歩いた公園までの道
橋の段差はもうない
まっすぐの道は
信じられないほど短くて
立ち止まっても
景色のほうが動いてゆく
橋の欄干にもたれ
川の匂いを吸い込めば
懐かしい香りがするのは当たり前だろうか

目を閉じる

目を閉じなければ
郷愁を感じられないことを確認する
けれど
東京に戻ったからこそ感じられるのだと

それだけを願いながら
帰りの切符を買う




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