天邪鬼/
坂本瞳子
真っ白な毛に覆われた猫が
黄色い瞳を光らせて言う
走れ
だから逆立ちして見せた
ただそれだけのこと
シャノアは私を威嚇した
尻尾を立て
全身の毛をさ逆立て
黄色い目の輝きを強め
爪と牙とを剥き出しにして
喉を鳴らした
瞬き一つすることなく
逆立ちしたまま
微動だにせずいると
シャノアはどこかへ行ってしまった
お澄まし顔で
振り返りもせず
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