熱帯夜の爆弾/坂本瞳子
 
右耳の中に抱えた不発弾は
頭の芯を溶かすように
熱をじんわりと継続させる
一筋の涙が頬を伝うのに気づきもしない
耳の後ろのリンパ腺は腫れ上がらない
熱は永遠に下がらないのではないかと疑いたくなる
だからといって抗う術はなく
八つ当たりをする相手もいない
今宵もまた唸され
汗にまみれて
眠れぬ夜を過ごす
戻る   Point(0)