なごり ひびき/木立 悟
光の傷 埃の羽
蜘蛛の巣の雨 風を鳴らし
昼に沈み
夜に揺れる
つぎはぎの声
低空に満ち
矢継ぎ早の虹
径を濡らす
止まっていた渦が動き出し
老いを増し 知識を増す
たくさんの傷が話しかけ
ゆこうとする先を覆い隠す
泡 痛み
夢の台本
一瞬に終わり
一瞬につづく
光へ 光へ
道連れも無く
暗がりと震え
鈴の標
置き去られた夜が
来るはずのないものの方を見つめて動かない
皆 目をそらしたまま
雨音の残る径を急ぐ
消える言葉にまたたく手が
割れた外灯を灯してゆく
光の煙 網の羽
紋に沈み 紋に揺れる
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