サン/モリマサ公
 
なのこだったからおんなのこがスキだった
コロナはこういった「大丈夫、スキ」
ひとりでいく街路樹をおおう空気は無気力で
肉のように重くなった雲に
あたしは無いほうの腕をのばす
目を閉じるときのゆっくりの音が
手を開くときの関節の音が
して
吃音に絶望して自殺しようとしている弟は
ホルモンバランスがわるいというだけで
このことに起因するいじめをうけていることはたしかだが
詩に関しては天才だった
みんなが彼の詩をよみたがった
彼の詩をあまりにもみんながよむので
彼はもう詩という存在になって
みんなという詩になってしまった

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