未だ夢の途中/坂本瞳子
 
子供の頃に見ていた夢を
思い出そうとすると
涙が流れる

もっと素敵な自分で
楽しいことをたくさんしていて
笑顔に溢れた
そんな日々を過ごしているはずで

そんな嘘っぱちを
憧れてる振りをしていた

花丸がもらえるような
作文を書くように

人に認めてもらうためには
思ってもいないことを
それらしく書き溜めることを覚えた

そんな日からは随分遠ざかったけれど
あのとき見ていた夢は色褪せてしまったけれど
今の自分の欠片であることは
紛れも無い事実で

汚れた大人になった今も
卑しい子供の気持ちに苛まれて
それでも今日を生きている
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