Let it go/桂
「Let it go 」
悩む度に足を運んだ浜辺
眺めているってことは
今日も僕は思い悩んでいる
細かい砂の上に尻もちついて
三角座りのまま
寄せては返すさざ波の音に耳を傾ける
励ましの言葉が使い果たされても
さざ波はいつまでも囁いて
そばにいることを伝える
生まれた場所から一歩も動かないサンゴ礁
動かない理由が深海に潜む得体のしれない恐怖だとしたら
魚の隠れ家を作る彼らの役目も虚しく思えてくる
母親の言うことも聞かずに波に飛び込む
素っ裸の小さな男の子は
水の冷たさに驚いた後
キャッキャッと笑った
「僕の憂いもサブいぼ程度なのかも」
T シャツを脱いで
久々に海に飛び込む
体の自由を奪う冷たさも
肩までつかって10秒数えると
消えて
目を閉じて体の力を抜くと驚くほど簡単に浮けた
そして潮の流れに
本当に行きたかった場所を告げてみる
カモメの鳴き声で目が覚めて
僕は辺りを見渡したあと笑う
なぜならたったそれだけのことで
僕はずっと望んでいたあの場所に打ち上げられていたからだ
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