蜘蛛/田園
だ衝動が
体液の流れ出る衝動が
蜘蛛を支配する
私を支配する
熱い
私も熱を帯びたただの一個体
食い
交わり
糞をする
ああ、
「蜘蛛の糸」よ
救いの時はまだか
掠れ掠れほうほうのてい
蜘蛛を見つめる
糸をより長く垂らした蜘蛛は
やがて地につき
己が生に戻る
私に操られた一瞬など
気づきもせず
さあさあさあ
残った糸の感触を指先で追い
ぺろりと一舐めして飲み込んだ
私は空を飲み込んだのだ
私は空を飲み込みたかったのだ
さあさあ
蜘蛛は這いずり回る
私もまた這いずり回るだろう
だが
最早絶望も高揚も鮮明すぎてなだらかだ
さあ
ぶら下がるのは誰の生
戻る 編 削 Point(1)