「両翼」/
 
「両翼」

「生き方 」
「死に方」
対極の言葉なのにそれから先綴られる物語が同じってのは意外とよくある話だ
この両翼が
右に傾いたとしても
左に傾いたとしても
その先は同じ
平衡感覚を失くした僕らは
回転しながら
あの森へと落ちていく

「右翼」

街の大通りで
ブレーメンの音楽隊みたいに間抜け連中が
ラッパの形の拡声器を使って 通行人にヘイトをばら撒いていく
無知な人間に植え付けられた
憎悪は脳のシナプスに根を張り養分を吸い取っていく
論理的思考を抜かれ憎しみだけが残ったゾンビ達が
名前も顔も知らないあの国の
人々に無差別に噛みつきながら街を彷徨って
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