表裏/葉leaf
浅い息の淵をたぐって、人混みのほどけた場所へ、同じハッピに同じサンダル、出場の順番を待って、盆踊りの夜は凍える。アルコールの傾斜を滑り、秩序や光が失われる場所へ、根源的な連帯が訪れる瞬間へと、僕らは来たはずだった。笛の音が抽象的に踊り、スピーカーからは祭りの歌声が弧を描いて、湾曲しながらはかない均衡へと至るため、僕らはみな同じ振り付けを同じリズムで。沿道で見守る観客たち、ざわめきと視線がきつく澄んでいて、僕らは通りの平面の上を、終わりをわざと見失いながら。盆踊りは雨のように終わった、僕らは心を融合させて明日を迎えるはずだった、だが僕を襲ったのは根源的な冷たさ、深く野合したが故に訪れる深い寂寥、連帯の混沌は同時に孤独の混沌であり、この世との隔たりに目が眩み足早に立ち去る。何も望んでいなかった、だが確実に大きな喪失があり、僕は単純に孤独な老職員と等しく老いて、同じまなざしで仮構された連帯を刺し、根源的な孤独をともに嘗めた。もっとも孤独を深めるもの、もっともこの世との距離を気付かせるもの、それは過剰に潤った連帯だった。
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