ペシミストのために街は青く光る/伊藤 大樹
きみへの愛は痙攣的な近親相姦、あるいはバスの中で音読する官能小説/ジンジャーエール片手に危なげに海の背中を泳ぎきり、思いっきりジャンプする、遠くの方へ、できるかぎりの軽快さで/各駅停車の青空/二度と聴けない音楽で世界は満たされ続け、ぼくは雲ひとつない五月の日に自殺する、それがぼくの透明さやかつてない平野を暗示していた午后/ぼくは薬を捨てて輝くための紅茶をのみほす/海はたえず夕陽の墓場だ/眠りたい地平線がある/ぼくは駱駝に跨ってけなげに始発を待っていた
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