望郷/葉leaf
死は形を持たない
一つの過程があるだけである
死の過程の支流に絡まることにより
私の過程も死と斉唱を始める
誰も呼ばない声がする
誰も来ない足音がする
だが空間が膨大に隔たっていても
故郷との握手は細胞が隣り合うかのようだ
故郷は形を持たない
粒子となって淡く空中に溶け込んで
凝集と拡散を繰り返すだけだ
だがそれは形のない生命と身体を持つ
死の過程を滑走しながら故郷の粒子の中へ
裸形の人生のほころびはつくろわれ
生きた愛の花弁を身に浴びる
ともに所有することで育まれた
私と故郷との生き止まない愛
愛の堆積が風光に撒き散らされて
私は死の過程を離脱する
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