1+1/みもる
木枯らしの吹く冬空に
わずかに太陽が顔を出したら
一瞬
懐かしい風が頬をなでた
僕は我に返って
思わず振り返る
人ごみの中に消えてゆく
自分の記憶の中だけにある声と面影
生きる ってなんだろうな
と君に急に真面目になって聞いてみたら
うーん、と小首を傾げて
悪戯でも思い浮かんだ子供のように
「1+1は?」と言う
僕はすぐには答えられず
悩んだあげくに解らないと答えた
君はにししと笑って
「にーっ!だよ」と満面の笑み
目の前に突き立てられた二本の指は
迷いも躊躇いもない
まぎれもないピースだった
1+1は
100でも
0でも
3876でも
10000000000000000000でも
ない
「2」 だ
生きるってなんだ?は
1+1ってなんだ?だ
答えは解り切っているのに
僕はどうしてもまだ
はっきり言い切ることができない
でもたぶん
大丈夫さ
君が傍にいてくれれば
生きる は にーっ!だ
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