2/3/紀ノ川つかさ
 
わることはなかった
ウサギは村に迎えられた
村人達は愚かな少年を指さして笑った

またある日
2/3は村に向けて馬を放った
また少年は叫んだ
「狼だ! 狼が来たぞっ!」
村人達はまたその動物を
村の外で飼ってみることにした
それは速く駆けるが恐ろしくはなく
力持ちで人になついて一緒に働いてもくれた
馬も村に迎えられた
2/3の何が怖いものか
村人達はまた少年を指さして笑った

そして2/3は狼を放った
恐ろしい牙が光る獣だった
少年は三たび叫んだ
「狼だ! 今度こそ狼が来たぞっ!」
少年の声に耳を傾ける者は
もう誰もいなかった
狼はそのまま村に迎えられた
そして村人は一人残らず
狼に食われてしまった
戻る   Point(4)