ゆるい曲がり角/
藤原絵理子
ぼくたちは どこで分かれ道に…
雑踏の人波をかき分けて 前へ
日常に埋もれて あがいていた間に
湾曲した道を曲がるときの
あの ときめきも忘れて
手をつないで 昔見た風景を
気がつくと ぼくたちは
同じものを見ているのに
違う風景の中にいたんだ
それなのに 手だけはつないだまま
ぼくが守ろうとしていたものは
変容する もういちど
今度は ゆるやかな坂道を
カフェのテーブルを挟んで 微笑んで
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