エレクトーン/
チグトセ
うやくそうらしいと明らかになった頃には
あの頃の最初の「問い」
を憶えている者は、もはや一人もいなくて
きっと膨大な拍手に埋もれて
幸せに埋葬されていったのだろう
つまり、
無垢な勘違いに圧し潰されて
本当に上書きされてしまったのだ
誰の手も届かない場所で
静かに
薄暗い部屋の壁をのぼっていく
薄っぺらい埃
結局最後まで、端から端まで使われなかった
初めから、余白だった宇宙
光が時間なんて覚えるから
こうしてなんにも、止められないのだ
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